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死後事務委任とは?死後事務委任契約でできること

死後事務委任契約を利用することで、葬儀、火葬、納骨、埋葬、永代供養といった死後の事務について、自身の希望に沿った具体的な内容を指定することが可能です。

本来、委任契約は委任者の死亡によって終了するのが原則ですが、死後事務委任契約は死亡後も契約を終了させない旨の合意を含むものと解されており、遺言では法的拘束力を持たせられない葬儀等の事項についても、受任者に履行義務を負わせることができます。

1.具体的にできること

 死後事務委任契約で実現できることは多岐にわたります。

  • ・葬儀に関すること
    • 通夜、告別式、火葬の執行。特定の寺院への依頼や、家族葬などの規模の指定、火葬(直葬)のみの指定などが可能です。宗教や宗派も指定可能です。
  • ・納骨・供養に関すること
    • 特定の墓地への納骨・埋葬、永代供養の依頼、散骨(山中等)の実施、墓石の建立などが含まれます。
  • ・関連する行政手続
    • 死亡届の提出、火葬・埋葬許可証の申請、健康保険・年金等の資格抹消手続き、行政官庁への諸届けなどが委任の範囲となります。
  • ・その他の事務
    • 親族・知人への死亡連絡、医療費や施設利用料の精算、遺品整理、家財道具の処分、賃貸住宅の解約事務、残されたペットの処遇なども併せて指定されることが一般的です。また、最近ではSNSアカウントの削除を含める場合もあります。

2.他の制度との比較

・遺言との違い

葬儀や法要、納骨の方法は法定の遺言事項ではないため、遺言書に記載しても法的な拘束力のない「付言事項(付帯事項)」にとどまります。

また、遺言は死亡後しばらくして発見されることもあり、希望通りの葬儀が執り行われないリスクがありますが、死後事務委任契約は受任者に履行義務が生じるため、より確実性が高まります。

・成年後見制度との違い

成年後見人は本人の死亡後、家庭裁判所の許可を得て「火葬又は埋葬に関する契約の締結」などを行えますが、葬儀の執行までは認められていません。

また、任意後見人や保佐人には埋葬の権限すら認められていないため、葬儀等を実現するには死後事務委任契約を別途締結しておく必要があります。

3.死後事務委任契約を検討すべきひと

典型的なケースは以下の通りです。

  • 子どもや兄弟姉妹がいない場合:
    • 生涯独身である、配偶者に先立たれた、親族が既に死亡しているなどで、死後の事務を頼める身近な親族がいない「おひとりさま」のケース。
  • 親族と疎遠である場合
    • 子どもや兄弟姉妹などの親族はいるが、仲が悪い、長期間交流がない、あるいはどこに住んでいるか分からない場合。
  • 親族に頼ることが困難な場合
    • 親族が海外や遠方に住んでおり、死後事務のために長期間滞在することが難しい場合や、親族自身が高齢、疾病、障害、引きこもりやニートであるという事情を抱えており、身体的・精神的負担をかけたくない場合。
  • 相続人に知られたくない事務がある場合
    • PC内のデータ消去やSNSの利用停止など、プライバシーに関わる内容で、相続人である身内に依頼することが憚られる処理を、第三者の専門業者等に託したい場合。
  • 確実な事務遂行を求める場合
    • 葬儀や法要、納骨の方法は法定の遺言事項ではないため、遺言書に記載しても法的拘束力が生じません。これらを「付言事項」ではなく、受任者の義務として確実に遂行してほしい場合に利用されます。
  • 相続人が関わりを拒否する場合
    • 相続人が存在していても、死後事務への関わりを拒否している、あるいは相続人と受任者との間で紛争が生じる可能性がある場合、あらかじめ契約で事務を明確化しておくことが推奨されます。

4.まとめ

死後事務委任契約は、単に身寄りがいない人だけでなく、親族が多忙で迷惑をかけたくない人、特定の葬儀方法を希望する人、デジタル遺産の適切な処分を望む人など、自分の死後の事務処理に不安や具体的な希望を持つ全ての人にとって、その不安を払拭し意思を実現するための有力な選択肢となります。

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著者 司法書士 早瀬 和海
日吉司法書士事務所
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